酔記

美に殉死 愛の闘争

実験 Day2

かりそめの言葉。住み慣れた場所。真心。誰もが盲目になることを望まないくせに、脇目も振らずに駆けようとする。

小さい紙切れに何かを書いて、もっと小さく、小さく、丸める。優しく、壊れないように、それでも小さく、押し丸める。

それが終わったら、風の声を聞こうとしなければならない。紙よりも小さい存在なのだから。

例えば。


レジ袋はいりません。お箸も大丈夫です。ありがとうございます。


週末はどうしてた?友達と遊んでました笑 良いね。


ゴミ箱コンビニにあるかな、缶が。確かに、渋いな。


ごめん!少し遅れる!大丈夫!こっちも遅れそうだしゆっくりおいで〜


わろた。なんじゃそれ。それな。


今の信号機見た?見てなかった!リスだったよ。


赤かったね。プラスチックみたいな色だったけど。ほこりかぶってた。


豆腐だけ?示しもつかないネジも安くなってるよ。夏だからね。


まさに。

何かに傾倒するということは、それ相応の尺が必要になる訳であるし、或いは一つずつ集めたはずの花を結局一つの花束に纏めてしまうような危うさがある。

泥濘は時として飢えており、叱咤激励の均衡の上に、その存在は続く。

果てしない線路沿いを炎天下、友と歩き続けること。高邁な精神に何一つ疑問も抱かずにひたすら、歩き続けること。

辛うじて、こう言うこともできる。

凝縮した時間は、いつか灯のように、我々自身を、燻らすと。