酔記

美に殉死 愛の闘争

2023-11-01から1ヶ月間の記事一覧

小さな自慰

青い琥珀洗練された修辞法美女の下痢 私はぐるぐると粘膜の滑り台を落ちていった怯えて、怯えて 最後に鼓膜が破れて、死んだんだ!

ヴェール

酩酊は俺をどこにも連れてゆかない接吻の冷たい痛みに震えながら冷たいというのはこんなに美しかったっけと俺はもう一度、背中を丸めた 眼下の闇にはだだっ広い河原が息をしていて育ちの良いレース刺繍は呆気なくほどかれてゆく 俺は正直飽き飽きしている愛…

キャンバス

まっ白なキャンバスのまっ白な真ん中に俺はぽっかり浮いているまたとない有象無象の夢が瞬くように泳いでは消え放縦なヴィーナスの如く冷たい布地に跳ね散る (暗転) まっ黒なキャンバスのまっ黒な真ん中に俺はぽっかり浮いているまたとない有象無象の夢が…

ダビデ

君は石だ鏡に非対称性を捧げ酔い潰れたメデューサの紅い毛髪の朽ち果てた瞳の重さを受け止める 太陽を月をとてつもなく大きな光を人々は称揚するが誰にも見えないのだろう対称性の向こうに消えそうな目の輝きを眩い嘆きを 燃え尽きた命の星を蹴り飛ばして夜…

蜘蛛の糸

きらびやかな嘘の潮風に零れ落ちた太陽のしずくを探して錆びた始発列車に飛び乗った 昨晩からどうにも内臓は愛情に飢えて力なく千切れた脳をぶらりぶらりと引っかけたままどれが本当の俺なんだろうと朝まで問う 咎めたければ咎めれば良いさ俺は窓外に目をや…

呼吸

光は追わなければならぬそれは盲従ではなく、純心の淘汰である 淡い出来心で駆け上るガラスの慈悲の螺旋階段はどこへも通ずることなく造花の薔薇の台座となる 消えゆく光のボルボックスを痙攣する薔薇に重ねて押し返す粘性の情熱を閉じた瞼に乗せた 早朝の青…

悪い夢I

地獄の隅をモンシロチョウが舞う剥がれ落ちた虚栄の粒は二度と帰らぬ鱗粉となる 深緑の表層は裸の真珠に呑まれ形骸化した蹄が風のリボンを踏みしだくこの地獄を眼前にして清澄たる翅は異国の波となるという (オレンジ色の無人島) めくるめくエントロピーの砂…