まっ白なキャンバスの
まっ白な真ん中に
俺はぽっかり浮いている
またとない有象無象の夢が
瞬くように泳いでは消え
放縦なヴィーナスの如く
冷たい布地に跳ね散る
(暗転)
まっ黒なキャンバスの
まっ黒な真ん中に
俺はぽっかり浮いている
またとない有象無象の夢が
瞬くように泳いでは消え
放縦なヴィーナスの如く
冷たい布地に跳ね散る
世界は、ここにはない
誰かに奪われた小さな生活が
徒に膨張しているのだ
誰かに忘れ去られた小さな生活が
揺り籠に死んでいるのだ
たくさん、たくさん、諦めた
はやく、はやく、駆け抜けた
おおきな、おおきな、明日のために
ちいさな、ちいさな、昨日を捨てた
そうさ、ちいさな、ちいさな……
まっさらなキャンバスの
まっさらな真ん中に
わたしはぽっかり浮いている
あなたとぽっかり浮いている