きらびやかな嘘の潮風に
零れ落ちた太陽のしずくを探して
錆びた始発列車に飛び乗った
昨晩からどうにも内臓は愛情に飢えて
力なく千切れた脳をぶらりぶらりと引っかけたまま
どれが本当の俺なんだろうと朝まで問う
肉体のなんと無駄なことだろう
朝日に濁る列車の窓に薄汚い少女の声が乱反射する
肉体のなんと無駄なことだろう
声は蘇った
鬱血した肺を解放すべく
声は蘇った
通りで解らぬわけだ
文明の速度の狭間に俺は舞台袖を見た
吐き気がするほどの蜘蛛の巣に
個人主義が無様に揺られていた
あらゆる声と鼻水の糸は
沈黙の絨毯に織り込まれていった
滑稽なパレード!
俺は音もなく嗤った
もはやその必要もないくらいに、眩ゆかったのだから
大昔の映写機のように
しずくと列車は海に照らされ続けた