酔記

美に殉死 愛の闘争

招待状

紳士淑女をなお超えて 美麗の微笑む皆様方へ

さあ倦怠した虚像に何を託そう
細胞活動をつぶさに成し遂げるべく
流動する柱を再構築する世界

或いは今ここに託すべきかもしれぬ
豪奢なシルクをふんだんに重ねて
ウールやコットンをしとど纏い
潰えぬ星屑のごと静脈を靡かせ

午後の香気立つ川辺に
鴨や白馬のランデヴーを
時の懸濁と凝集に耳を傾け
波打つ紅茶に言の葉を燻らす

嗚呼 夜会服と薔薇の拳銃!

狂騒の日々は鐘を撞き
麻痺は俺たちのうたた寝を蝕む
電子の瀑布に舞踏を鞭打ち
ただ肉体を鞣すことだ

卑賤の天使は肌を脱ぎ捨て
肥沃な悪魔は歌を奏でる
拍子抜けした無駄な旋律のみが
めくるめく愛の季節の面影となる

君はウヰスキーを 俺は林檎を
君は詩集を 俺はレンズを
君はギャバジンを 俺は真珠を
君は珈琲を 俺はヴァイオリンを
君は君を 俺は俺を

君は俺を 俺は君を