酔記

美に殉死 愛の闘争

呼吸

光は追わなければならぬ
それは盲従ではなく、純心の淘汰である

淡い出来心で駆け上る
ガラスの慈悲の螺旋階段は
どこへも通ずることなく
造花の薔薇の台座となる

消えゆく光のボルボックス
痙攣する薔薇に重ねて
押し返す粘性の情熱を
閉じた瞼に乗せた

早朝の青さと夜の残酷さが
互いの名を呼ぶ束の間
貴方の頭髪や、眼球や唇は
色を放ち酸素の海を抱く

或いは生の寝返りを太陽に託すことで
人は人となり時は時となるのだ

あの、蠢く大きな灼熱の嘘に