酔記

美に殉死 愛の闘争

実験 Day1

滔々と流れ落ちる優しさはいつも、どこにゆくでもなくただ冷たく澄みかつ濁りを失わない。川が湧き水へ逆流しないように、時間が決して戻らないように。

噛み潰したミントの匂いは、これと少し似ているようでまた違う。苦虫も噛み潰せぬようでいて、何を語れようか。

湿っぽい時間の流れも寂寞を潤すが、焚き火の周りに朽ちた木の枝を刺し並べてゆく子供達の歌声をかき消す。ただ粛々と。

ご存知のように、人は理解することのみで生きることはできない。縦横する血管に寄り添う感情と呼ばれるもの(感情などという言葉では到底覆えないもの)を誰もが握り締めながら生活し、飼い慣らしたようでいる。そう、しばしお待ちを。




如実に語りえない毛皮の色はまた、昔日の写真を覗くようでもあり、こうして過ごしている間に、何かを絶えず分解し生産する自然の摂理というものは広大な海へ僕らを誘う。そもそも果たして海で藁を見たことがあるだろうか?プランクトンが凡そ海面に浮遊するものを指すのならば、我々こそプランクトンなのだから、計算し尽くされた倍率の下でいざしめやかに観察されよう。その際、決してレンズの曇りは拭わぬこと……


誰もが孤独であるという点において、我々は一つなのだ。徒に雑草を引っこ抜いている場合ではもはやない。我々は、藁を握ったまま歩くこともできるのだから。