2023-09-20 顕微鏡 それはまるで溶けだした柑橘類のように濡れたうなじを舌で拭う しどけない死の匂い 一方俺は墨汁の香りをコトコトと楽しみながら薄暗い花屋の奥で無意識を抱き寄せる あんたも罪だねえ 乾杯 また乾杯 それから並んでリボンを毟る一粒一粒、ささくれた汁を撒き散らして 撓んだ顕微鏡の中ですべてが小さく焦げてゆく