酔記

美に殉死 愛の闘争

顕微鏡

それはまるで溶けだした柑橘類のように
濡れたうなじを舌で拭う

しどけない死の匂い

一方俺は墨汁の香りをコトコトと楽しみながら
薄暗い花屋の奥で無意識を抱き寄せる

あんたも罪だねえ

乾杯 また乾杯

それから並んでリボンを毟る
一粒一粒、ささくれた汁を撒き散らして

撓んだ顕微鏡の中で
すべてが小さく焦げてゆく