酔記

美に殉死 愛の闘争

境界と悪魔

慇懃無礼な信仰に身を弄び

花嫁は独りオレンジを啜る

メケメケと剥け散る皮の匂いは

現代社会を濃霧に包み

やがて落ちゆく道徳の花

 

限りなく白く

あらゆる汚濁をシルクで覆い

あるいは酸に溶かして

幾重にも幾重にも 死んだ肉体

やがて消えゆく道徳の花

 

蝕むのは何れぞ 殺すのは何れぞ

善悪の実に舌を打ち

我つゆ知らずと哄笑するも

軍人 祭司 医者 営業

やがて死にゆく生命の花

 

嗚呼、生命は道徳でしょうか

崖に吊るした美徳でしょうか

いいえ、それは腐敗の頭部です

人間社会は死を潤して

貴方はソレを嫌悪する

そんな腐敗の頭部なのです