酔記

美に殉死 愛の闘争

外骨格

俺はいわば、緑色のカブトムシの、乾いた殻を破り出てきたような状況で、頭の周りは無数の花火に埋め尽くされている。

記憶の逆流に伴う妙な圧迫感を、喉のあたりに感じては、羞恥と忘却との谷間へと転げ落ちる。

風を切る間もなく、火のつかぬ灰のごとく、転げ落ちる。

不純に満ちた系列を辿るも、証拠と欺瞞にまみれたこの世には、いや、この世界を映す鏡には、労いと慈愛を振り撒く散髪師がいることに気付くのみ。

そうして放浪を搾取するような微睡に揺れては、もはやもう涙も尽き、内臓の吐息に漂い彷徨う。

君は百足と音符の書かれた紙を彼らに配ったという。逸脱の信者を誰が置き去りにできようか?純真な矛盾に満ちた、この孤独を誰が置き去りにできようか?