何も変わらぬ渋谷のビルジングのほとり
何もなかったように笑う
ぽつりぽつり風を縫って街灯が
汚い坂道を照らす内に
滔々と蠢く人混みは
善意も悪意も知らぬ
記憶とは名ばかり
約束もしらばくれて
肌を重ねて朝を迎える
セロハン
二杯のカクテル
戻らぬ後悔
海馬連ねて
巻き戻し
涙の浮遊
シュリドーレジン
フィルムには何が残るだろう
燃やしてしまえそんなものは
幻影の蹂躙、心に宿り始めて
潑剌と温むこの夜
ガラスのささくれ
星を延べて佇む息遣い
ベージュの後ろ姿
紅に媚びて
すべてに溢れる物は…
時の綻び