酔記

美に殉死 愛の闘争

若年の夢はかくの如し

純真無垢は錆び付いて

硝子を喉に押し込んだ

誰をも傷つけないために

流す涙は夜の紅(べに)


嗚呼飲まずとも泣かずとも

硝子は君を傷つけて

或いは君に傷つけられて

時の流れに鞣される


若年の夢はかくの如し


嫋やかな、しなやかな、その肉の

世の真実に耐えかねて

骨を撓ませ軋む音


「生きるとは耐えることなり

過剰な愛を忘れることなり」

「過剰は憎むべし

ひた生き延びるべし」


若年の夢はかくの如し


苦痛は世の礎なり

快楽は人の礎なり

かくて人は磨耗に走る

忘却の狭間に揺蕩いて

だがしかし人は